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ご挨拶にかえて「私の視点」
私はこれまでに仕事を通して多くの文化財庭園や建造物等に触れる機会に恵まれてきました。それは、かつての施主や職人など、今は亡き先人と対話し心を通わせることでもありました。そして、そこから受け取った思いを現場で関わる皆さんと共有し、さらに未来へと引き継ぐため、3つの視点を胸に日々の現場に立っています。
「造形物すべてに魂が宿っていることをわきまえる」
現場と向き合い対話する中で、先人の知恵と工夫に触れた瞬間に無上の喜びを感じる。それは連綿と育まれてきた文化そのものであって、その奥深さに思いをはせることが出来るからだろう。それらの素晴らしさは、現代社会の中で埋没していることも多いのだが、発見されることを静かに待っている。「込められた魂を見抜く」それが本質的価値であって、それによって初めて先人の偉業を目の前に浮かび上がらせることが出来るのだろう。それを踏まえ、現場が発する声を聞く姿勢を心掛けています。
「価値が引き継がれること、伝統となるための仕事をおこなう」
私たちの仕事もいずれは評価がくだされる。壊されるものもあれば残るものもある。その狭間は何か。おそらくそれは、「どれだけその核心に迫れたのか」なのであろう。調査などによって価値の究明を行い、それぞれに固有性のある価値を損なうことなく、どのような手順で展開したのかが、判断されるのだろう。残していくことの難しさと意味の大きさを胸に、次の世代に引き継いでいく仕事を心掛けています。
「コンサルタントとしての役割を果たす」
依頼された内容をそのまま設計するということではなく、まずその依頼の背景にある深層は何かということから始める。異なった観点や手法はないのか、その中で適切な対応は何なのかなど、関係者との対話を重視し、お互いに理解を深めつつそれぞれの知識を集約する。その上で方針を導き、協議・協調しながら施策を展開する環境の構築を心掛けています。
この視点を胸に皆さんと一緒に、これからも課題に向き合っていきたいと思います。
現場でお会いできる日を楽しみにしています。
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■吉村龍二プロフィール
1969年京都生まれ、京都芸術短期大学卒業。
1990年環境事業計画研究所入社、2001年より所長。
2023年度 日本イコモス賞受賞
環境事業計画研究所 代表取締役
【講師等】
京都芸術大学 非常勤講師
福井大学 非常勤講師(平成28年度まで)
京都芸術大学 日本庭園・歴史遺産研究センター 主任研究員
庭園文化塾(NPO国際造園研究センター主催)講師
【運営等】
文化財庭園保存技術者協議会 事務局次長
文化財指定庭園保護協議会 運営委員
史迹美術同攷会 副会長
日本庭園学会 理事
【執筆】
季刊『庭』(建築資料研究社発行)「永遠の名庭園」連載(2019年冬号~)
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