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園池全景と復原建物(北東から)
園池全景(南から)
園池の景⽯(北⻄から)

写真提供:奈良市
特別史跡・特別名勝平城京左京三条二坊宮跡庭園

所在地:奈良市三条大路1丁目
指定年月日:昭和53年(1978)10月27日 史跡・特別史跡指定
      昭和60年(1985)1月16日 特別史跡追加指定
      平成4年(1992)5月6日 名勝・特別名勝指定
      平成20年(2008)3月28日 特別史跡・特別名勝追加指定
所有者:奈良市
公開:水曜休園(祝日開園・後の平日休園)、祝日の翌日・年末年始休園
   ※休園日はホームページ等にて告知
ホームページ:https://www.city.nara.lg.jp/site/bunkazai/9230.html


【庭園の概要】
 平城京左京三条二坊宮跡庭園は、昭和50年の調査で発見された奈良時代の庭園遺構で、古代の庭園の姿を今によく伝える「発掘庭園」です。庭園の重要な要素である園池は、奈良時代・天平勝宝年間(749~757)頃の造営と見られ、平安時代初頭頃までは、当初の形のまま存続したと考えられています。
 庭園の中心には、建物に面して園池が広がり、大きく蛇行しながら南流しています。この園池は、菰川の旧河床を利用したもので水深は比較的浅く、池底はほぼ水平で玉石が敷きつめられています。また、汀線の彎曲点といった要所に景石が組まれるなど優れた造形が見られるほか、池中には木製の植栽桝も確認されています。
 平城宮の離宮または皇族等の邸宅(宮)であった可能性もあることから「宮跡庭園」と名付けられ、昭和53年には、他に類例のない高い歴史的価値から特別史跡に指定されました。また、平成4年には、古代庭園の地割・意匠・作庭技法を知ることができ、きわめて高い学術的・文化的価値があることが評価され、特別名勝に指定されました。
 昭和54年から昭和61年3月まで、園池の修理のほか、建物の復原や修景植栽など、初回の修復工事が行われ、庭園としての景観が整えられました。庭園では、一般公開によって貴重な遺構がそのまま露出展示されています。


【整備事業の概要】
 初回整備から20年以上が経過した宮跡庭園では、園池の石材劣化や復原建物の損傷など、大きな課題が確認されるようになっていました。そこで、平成18年度から再整備を開始し、園池の修理や復原建物の修理のほか、施設の撤去跡への建物の遺構表示や植栽整備など、敷地全体の保存活用を見据えた整備が実施されました。
 なかでも、園池修理は重要なものであり、景石の修理では、保存科学調査の結果に基づいて石材に保存処理を施し、取外した石を正確に原位置に戻すという慎重な工事が行われました。石材の劣化は、全国の発掘庭園が抱える課題でもあり、宮跡庭園では先行事例として今後も経過観察を継続しながら、貴重な遺構の保存に努めるとともに、公開活用を行う方針としています。


【業務実績】
  《調査・測量・計画》
    昭和54年度 復原整備基本構想策定業務
    平成18年度 修復整備基本計画策定業務
    平成18年度~令和元年度 測量、動態調査
  《設計・監理》
    昭和54年度 保存復原事業/実施設計及び測量設計
    昭和58年度 保存復原事業/工事監理
    平成9~11年度  保存整備事業/実施設計及び設計監理業務
    平成21年度~令和元年度  保存整備事業/実施設計及び設計監理業務
  《報告書》
    令和2~3年度 保存整備報告書作成業務




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