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下庭と桜島
御殿前⼤池越しの望嶽楼と桜島
災害復旧後の⽯積み
名勝仙巖園附花倉御仮屋庭園

所在地:鹿児島市吉野町
指定年月日:昭和33 年(1958)5 月15 日 名勝指定
      平成25 年(2013)10 月17 日 名勝追加指定
所有者:株式会社島津興業
公開:常時公開(年中無休)
ホームページ:https://www.senganen.jp/


【庭園の概要】
 仙巌園は、薩摩の島津氏第19 代当主光久が万治元年(1658年)に構えた別邸にはじまります。南には錦江湾を隔てて桜島の全容を望む優れた眺望が広がっており、独特の意匠・構成をもつ大名庭園です。
 当初の別邸は小規模なものでしたが、享保7 年(1722)から延享4 年(1747)にかけて、第21 代当主吉貴によって花倉川左岸へと敷地が拡張され、曲水庭及び江南竹林が造営されると、この後も、歴代当主によって拡張や改修が重ねられました。
 寛政11 年(1799)から文化15 年(1818)頃には、第25 代当主重豪が、御殿背後の山に後苑を拓き、山中に観水舎を、傾斜面の突端に桜島・錦江湾・開聞岳を一望できる集仙台を建てました。第27 代当主斉興は、後苑部の岩面に「千尋巖」の巨大な文字を陽刻するとともに、弘化4 年(1847)から嘉永元年(1848)頃には、海浜を埋め立てて庭園を拡張したほか、花倉御仮屋を造営し、巨岩を用いた庭園を築造しました。さらに、幕末から明治初年にかけては、第28代当主斉彬、第29 代当主忠義が、仙巖園の隣接地で製鉄・造船・紡績などの近代洋式工場を主軸とする集成館事業を開始し、仙巖園においても御殿を改修するなど、迎賓・外交の場としての整備を進めました。
 仙巌園は、島津氏による歴史とともにその庭園景観を良く保存し、優秀な風致景観を誇るものとして名勝指定されています。また、平成27年(2015)には、「明治日本の産業革命遺産」として、一帯が世界文化遺産の構成資産に登録されています。


【整備事業の概要】
 仙厳園は、令和元年6 月末~7 月初めの豪雨により、土砂崩れや石積みの崩れ、園路や敷地内通路の浸食など、各所において大きな被害を受けました。また、その翌年の令和2年9月に発生した台風により、多くの倒木や土砂流出、錫門の破損などの被害を受けました。このため、令和元年度~3年度にかけ、災害復旧事業として、石積みの復旧、植栽の被害復旧、園路の補修や錫門の修理などを実施しました。石積みの復旧工事にあたっては、適切な復旧方針の決定や記録を行うために着手前測量、史料調査、地質調査、地下水位調査、埋蔵文化財調査、動態観測調査を実施しています。
 また、事業開始にあたり、今後の植栽整備の基本方針を定める必要性が指摘されたことから、令和2年度には植栽整備計画を策定し、庭園の植栽整備を進めています。


【業務実績】
  《調査・測量・計画》
    令和元~2年度 植栽整備計画策定業務委託
  《設計・監理》
    令和元~3年度 災害復旧事業/実施設計及び設計監理業務
    令和2年度~  保存修理事業/実施設計及び設計監理業務
  《報告書》
    令和3年度 災害復旧工事報告書作成業務




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